非絶縁型4スイッチBuck-Boost電源を製作中です。入力は固定の24V、出力は3~55V、定格出力は300Wです。計算されたインダクタンス値を図に示しますが、どのくらいの値を選定すれば適切でしょうか?10μH?15μH?22μH?あるいはそれ以外?
あなたの原稿から、設計の考え方が非常に明確であり、Buckモードの導出も正確であることがわかります。ただし、ご質問に関しては、Boost計算でよく見られる小さな誤解をまず修正し、その後これらのインダクタンス値を比較しましょう。
核心的な訂正:Boostモードにおけるインダクタ電流
原稿では、Boostモード($V_{out}=55V$)の計算において、出力電流の 5.5A に 0.3 をかけて、リップル電流 1.65A を求めています。
訂正すべき点は次の通りです。 非絶縁型Buck-Boostまたは標準的なBoostトポロジでは、インダクタは入力側にあります。したがって、インダクタの平均電流は出力電流ではなく、入力電流に等しくなります。
最も過酷な条件(出力 55V、定格負荷 $300W$)で再整理してみましょう。
- インダクタの平均電流(=入力電流)の算出:
変換効率を \\eta = 95\\% と仮定します:
- 目標リップル電流の算出($r = 0.3$ とする):
- デューティ比 D の算出:
- 理論的に必要なインダクタンス値の算出:
(ノートの最下部で入力電流10Aとして算出した 22.56\\mu H のアプローチは正しいですが、300Wフル負荷時では実際の入力電流は13A以上になる点に注意が必要です。)
どの値を選ぶべきか? (10µH vs 15µH vs 22µH)
4スイッチBuck-Boost (FSBB) では、BuckおよびBoostモードの両方の要件を満たす単一のインダクタが必要です。通常、Boostモードの方がインダクタに対する要求が厳しくなります。そこで、この3つの値を最も厳しいBoost条件(平均電流13.16A)に代入し、実際の動作状態を確認してみましょう。
1. 10 µHを選択した場合(あなたが算出したBuckの下限値)
- Boost時のリップル電流: \\Delta I = \\frac{24 \\times 0.564}{200k \\times 10\\mu} \\approx 6.77 A
- リップル率: 6.77A / 13.16A \\approx 51\\%
- 評価: 推奨しません。 リップル率が50%を超えているため、コア損失(Core Loss)が大きくなり、スイッチング素子のピーク電流(約16.5A)も高くなり、導通損失と発熱が増加します。
2. 15 µHを選択した場合(バランスの取れた選択)
- Boost時のリップル電流: \\Delta I = \\frac{24 \\times 0.564}{200k \\times 15\\mu} \\approx 4.51 A
- リップル率: 4.51A / 13.16A \\approx 34\\%
- 評価: 強く推奨します。 30%~40%のリップル率は業界で広く認められた「最適ポイント(sweet spot)」です。リップル電流の大きさ、インダクタの体積、システムの動的応答速度の間で理想的なバランスが取れています。Buckモードではリップル率は約20%程度に抑えられ、非常に安定します。
3. 22 µHを選択した場合(保守的な選択)
- Boost時のリップル電流: \\Delta I \\approx 3.07 A
- リップル率: 3.07A / 13.16A \\approx 23\\%
- 評価: 使用可能だが副作用あり。 リップルは確かに小さくなりますが、22µHのインダクタは体積が大きくなり、直流抵抗(DCR)も高くなる可能性があります。さらに重要なのは、Boostモードには右半平面ゼロ(RHPZ) が存在し、インダクタンス値が大きいほどRHPZの周波数が低くなるため、制御ループの帯域幅が制限され、負荷急変時(例えば出力が50Wから300Wにジャンプする場合など)の動的応答が遅くなるという問題があります。
最終的な提案と部品選定上の注意点
以上より、15 µHの選択が最も適しています。この15 µHのインダクタを購入またはカスタム注文する際は、以下の2つの重要パラメータに特に注意してください。これらを満たさないと、300Wのフル負荷運転時に簡単に素子破損や磁気飽和が起こります。
- 磁気飽和電流($I_{sat}$): 最大ピーク電流を超える必要があります。最も過酷な条件下でのピーク電流はおよそ 13.16A + (4.51A / 2) \\approx 15.4A です。余裕を持たせて20%以上のマージンを確保し、I_{sat} は少なくとも18A~20A以上必要です。
- 温度上昇電流($I_{rms}$): 13A以上の実効値電流を長時間耐えられる必要があります。I_{rms} は15A以上を推奨し、発熱を抑えるためにできるだけDCR(直流抵抗)が 10m\\Omega 未満のインダクタを選んでください。
ステップ1:正しいキーデザインパラメータと重大な誤りの修正
まず、仕様を明確にし、ブーストモード計算における根本的な誤りを修正します:
- 入力電圧(固定):
Vin = 24V(Vin_min = Vin_max = 24V) - 出力範囲:
3V ~ 55V、定格出力300W、スイッチング周波数fsw = 200kHz - 重大な修正点:ブーストモードでは、インダクタに流れるのは出力電流ではなく入力電流です。効率η=0.9(典型的な値)として55Vで300Wの出力を得る場合、インダクタの平均電流は以下の通りです:
IL_avg(ブースト) = Pout/(η·Vin) = 300/(0.9·24) ≈ 13.9A
あなたが元々使用していたのは5.5Aという出力電流でしたが、これはインダクタ電流を大きく過小評価しており、許容リプル電流を過大評価しています。
ステップ2:4スイッチバック・ブーストの最悪条件におけるインダクタンス計算
4スイッチバック・ブースト回路は、バックモード(Vout < 24V) と ブーストモード(Vout > 24V) の両方で動作します。それぞれのモードにおける最小必要インダクタンスを計算し、すべての動作条件を満たすためにより大きな値(余裕を含む)を選択する必要があります。
1. バックモードにおける最小インダクタンス
バックモードの最悪条件は Vout = Vin/2 = 12V (D=50%、バック変換器において最大のインダクタンス要求)です。目標リプル ΔIL = 3A を使用して:
2. ブーストモードにおける最小インダクタンス
ブーストモードの最悪条件は最大 Vout=55V (最大デューティ比、最も高いインダクタンス要求)です。一貫性のため同じ ΔIL=3A を使用:
ステップ3:最終的なインダクタンス選定
ここでは、ブーストモードの要件がボトルネックとなります。インダクタの公差、温度による劣化、および磁気飽和への対策として10~20%のマージンを追加します。
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推奨値:22μH(標準値)
- ブーストモードの最小要件(約22.5μH)をわずかな公差マージンで満たします
- バックモードではリプルが非常に小さく(12V時約1.36A)、出力ノイズおよびコア損失を低減します
- 以下仕様のインダクタが必要です:
- 磁気飽和電流
Isat ≥ 18A(ピーク電流 ~15.4A + 20%マージンに対応) - 実効値電流定格
Irms ≥ 14A(定格負荷での連続運転用) - 高電流下での高効率のための低DCR、200kHz動作に最適化されたフェライトコア
- 磁気飽和電流
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代替案:15μH(小型化可能だがリプル犠牲)
- ブーストモードでリプル電流が高くなる(~4.5A)ことを許容できる場合にのみ可
Isat ≥ 19Aのインダクタが必要(ピーク電流 ~16.1A での飽和防止)- 22μHに比べてコア損失とEMIが高くなり、サイズが極めて重要でない限り非推奨
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非推奨:10μH
- ブーストモードでリプル電流が過大(~6.7A)となり、深刻なコア損失、高EMI、および定格負荷時におけるインダクタ飽和のリスクが生じます
- バックモードの要件は満たすが、ブーストモードでの定格出力動作には対応できません
最終的な推奨
22μHのパワーインダクタを使用してください。仕様は Isat ≥ 18A、Irms ≥ 14A、低DCR。これは300Wの4スイッチバック・ブースト設計におけるすべての動作条件を満たす、最も信頼性が高く一般的な標準値です。
ブーストモードでは、入力電流を使用して計算を行う必要があります。

